4 主な年中行事

1飴市 2月11日
 
 飴市は古くから松本で1月11日に、大町では2月11日におこなわれてきた。近次千国街道沿いの豊科・穂高・池田でも松本と大町を結ぶ千国街道沿いの町でも行われるようになった。
 大町の飴市は、江戸時代に塩門屋であった八日市の平林家前に市神様が祀られ、八日町から下仲町にかけて、テント張りの露店が並んで賑わう。そこでは主に縁起をはじめ塩俵をかたどった飴、福助館、その他の飴類を中心にさまざまの市が立ち、商店街は大売出しをして人々を集める。
 飴市の起源は、伝承によれば越後の上杉謙信から送られた塩が松本平に入ったのを記念して開いた塩市が飴市になったといわれ今日までその由緒を伝えている。

2 木崎湖の燈篭流しと花火大会

 毎年盆の8月15日の夜、木崎湖畔では、北アルプスの遭難死没者、仁科三湖の水難者、森城との関係で仁科氏一族の霊をなぐさめるため、燈篭流し(精霊流し)が行われている。
 燈篭流しは木崎湖の森城沖から、約2500個に及ぶ燈篭を流す。五色燈篭の色が湖水に映えてゆっくり移動する情景は、夏の木崎湖ならではの風情である。その終了後、打上花火やモーターボートから投下される水上スターマイン、湖中の桟橋にしつえられた仕掛花火が次々に点火、打上げられる。平地の花火と違い、空と水に映える美しさは格別である。そしてその一番の呼びものは「ナイヤガラの滝」(仕掛花火)である。
 これは湖の東から西に横切る約250メートルの綱に仕掛けられた花火が一斉に点火されると、湖畔一面が昼のように明るくなり、湖水に落ちる火花が水に映え、他に見ることのできない夏の夜の風物詩になっている。市内外の見物客多数が湖畔を埋めつくして賑やかである。

3 大町温泉卿の花火大会

 毎年8月下旬、大町温泉卿でも大規模な花火大会が、多数の見物客を集めて行われている。
 当日の昼間は、素人のど自慢大会が温泉卿内で行われる。花火は温泉卿の東を流れる鹿島川の川原で打ち上げられる。打上花火、スターマイン、仕掛花火が次々と山麓の空を彩るのである。

4 仏崎の草競馬
 
 仏崎の観音寺は昔から馬の息災を守護する寺として知られ、例祭には郡下のみでなく郡外からも馬を曳いた農家の人々が参拝に訪れていた。そのため、観音寺境内の東の馬場で、昔は八十八夜に草競馬が行われ、農耕馬を主とする競馬が、この地方の人気をよんでいた。現在でも4月末日には、県下内外の馬が集まり、草競馬が行われている。

5 やまびこまつり

 やまびこまつりは、市制25周年を記念して発足した市民まつりである。まつりの趣旨はー「みんなが指折り数えて待ちのぞみ、みんなで創りだすカーニバル、市民総参加のまつりである。市民はこのまつりを通じて、ふるさとの町づくりを考え、連帯と共同、交歓の触れ合いの中から、ひとりひとりがもつ知恵と力、演技と役割を全体のものにする場としたい。そして、子供たちに夢を与え、その楽しみを皆で分け合い、汗を流して体験し合うまつりにし、郷土
の文化と伝統を作りたいと願うのである」毎年8月の第1日曜日に行われている。
 やまびこまつりの中心となる「やまびこ音頭」の歌詞は、大町くるみの会がつくり、作曲は長野市出身の作曲家、小山清茂(たにしの会主宰)踊りの振り付けは舞踊家の西崎緑で、アルプスの形をつくる動きと、それを見上げる形を振りつけている。この歌と踊りの発表会は、同年7月1日、市制施行25周年記念式典の後、仁科台中学校の体育館で行われた。
 第1回のやまびこまつりは昭和54年(1979)8月3日、4日の2日間に行われた。創作みこしは大人、子供あわせて41体が参加し、800人の市民でかつがれて市内をねり歩いた後、大町西公園の火祭り会場で火中にされ、やんやの喝采をあびた。なおこの地に伝わる雄大な治水の伝説ロマンの主、泉小太郎の山車と、やぶさめ太鼓がくり出してひときわ人目をひいた。
 やまびこ踊りは、歩行者天国となった大黒町追分から駅前四辻まで、48連、1500人の老若男女が参加、その人出は2日間で、ざっと1万5千人と記録されている。こうしてやまびこまつりは、2回、3回と回を重ねるごとに盛大となり、姉妹都市の富山県氷見市からの友情出演もあった。
 大町に伝わる伝説を主体とした山車の飾りものは、第1回の母の犀竜にまたがった泉小太郎をはじめ、第2回には静御前、第3回は戦国の勇将佐々成政のアルプス越え、第4回は承久の変に活躍した仁科盛遠父子と後鳥羽上皇との対面等の場面が人々の人気を呼んだ。
 昭和58年(1983)のやまびこまつりは、8月7日に行われたが、踊り連は60連、3千人に達し、創作みこしなどに参加した人員を加えて、5千人と記録されている。
 こうして、にこやかに楽しく勢ぞろいする市民のまつり、やまびこまつりは市制施行の四分の一世紀を画してつくられた市制記念碑ともいえる行事として、市民総参加の祭りとして定着したのである。


大町市の主な史跡と文化財

村人の祈りが聞こえる

信州ふるさと通信
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