祭礼と神事
大町の歳時記は1月11日、12日の飴市から始まる。塩問屋があった八日町を中心に上、下仲町の通りには、塩俵を形どった福飴や縁起、だるまを売る露天が並び、正月気分で屋内に閉じこもりがちな人々を町に誘い出す。
3月15日には、仁科神明宮の古式作始めの神事が、同神社で古式ゆかしく行われる。
4月2日から4日ころには植木市が開かれ、鮮やかな花や植木が陳列され、雪が消えた大町の町に確かな春を告げる。この日には、県内外の各地から集まった植木商や生花商が八日町と仁科町の通りに並び、植木や盆栽、草花、花木、果樹の苗木を売る。人々はその緑や、さまざまの彩りを庭や屋内に移植する。やがて人里に桜、梅、桃、杏などの花がつぎつぎと咲き競うころ、周囲の山のカラ松が芽ぶき始める。4月末から5月初めにかけては「桜まつり」が、山岳博物館のある大町公園でくりひろげられる。東山の山麓につづく展望道路の桜が開花すると、白雪におおわれた北アルプス連山と調和し、手踊りや花見の宴で賑わう。特に、ぼんぼりに映える夜桜の風情はひとしおである。
このころ行われる仏崎観音寺の祭日には、名物の草競馬が復活し、参拝の人々を集めて賑やかである。6月の第1日曜日には、北アルプス開発の先覚者、百瀬慎太郎を偲ぶ「慎太郎祭」が山開きを兼ねて、針の木大雪渓の上で行われる。これから北アルプスの登山は最盛期を迎える。
梅雨があけ始める7月14日からの4日間は、八坂神社と若一王子神社の夏祭りである。初日の前夜祭、2日目のみこし渡御、3日目の稚児行列、最終日のやぶさめ神事と舞台で祭りはクライマックスに達する。
8月の第1日曜日は「やまびこまつり」。昼には子供みこしや町内各種団体のみこし、やぶさめ太鼓などが市中をねり歩き、夜は各町内や団体の連による踊りの列が中央通りいっぱいにくりひろげられる。市をあげての、夏の夜の納涼行事である。
仁科の里の夏は冷涼であるが、8月も半ばを過ぎると、朝晩には秋の気配が山を下ってくる。8月15日には木崎湖の灯籠流しと花火大会が催され、人々は去ってゆく夏を惜しむ。また、8月下旬には「大町温泉まつり」が温泉郷で開かれ、賑わう。
9月9日、10日は竈神社の八朔祭り。9日の夜は花火大会、10日は草相撲がある。9月15日は仁科神宮の例祭で、神楽殿で古式ゆかしい神楽が奉納される。この祭りが過ぎると大町の秋は足早で、各地区の神社では秋祭りが相次いで行われ、神楽や獅子舞などが奉納される。
信州ふるさと通信
インターネット安曇野
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