庚申講(おかのえ講)


当番の都合の良い日の午後2時
箱清水 当番の家
組 織   地縁 11名(以前は18名)
御利益   仲間の親睦 お庚申さまは倍にして返してくれる
古文書   古くからの書きものがあるようだ
石像石塔  文字の石塔がある

 崇拝対象は庚申と書かれた軸と古い青面金剛像の軸と、像不明の軸の三幅の掛軸で、供物は花、灯明、線香、御神酒、御飯、菓子、まんじゅうなど。
 世話人が中心になり「般若心経」を唱える。鉦を打つ。お経は短い。
 当番は順番でなく都合のつく家でする。会費は5百円。これは全額預金して、当番の家では自費でお茶を出す。日取りも昔は庚申の日にしたが、今は当番の都合の良い日で、1月2月は寒いので休みとし、他の月は2ヵ月に一回行う。以前は毎月行っていた。花立、鉦、御神酒とっくり、御仏飯などの道具を入れた箱が持ち廻りされている。
 4月か5月に年に一度庚申塚の掃除をし、公会堂で花見をかねて折詰で酒を飲む。講員の家で葬儀のあった時は貯金から5千円香典を出す。葬儀のあと2、3日たってから夜講員全員でおまいりにいき、皆で般若心経をあげる。迎える側もお茶とお菓子を出す。
 昔からあった講が、人数が多くなったので甲、乙2つに分かれた。昭和になってから「昭和庚申講」ができて、現在箱清水には3つの庚申講がある。
 戦前は暗くなると集まり、風呂へ入り夕食を食べた。必ず「おとろ」を作った。夜おそくまでおしゃべりをしたが、夜明かしをする事はなかった。
 昭和37年9月20日申し合せ。庚申祭献立 1、吸物(豆腐)1、中皿魚(さしみは、絶対に使用せざること)1、中付野菜、以上3品、1、酒2升(1人約1合)1、献酬、献杯は行わざること。他に参加者の氏名などが書かれた記録がのこっている。
 昭和40年代までは、夕食を皆で食べた。当日の朝、ふれと一緒に米五合を集めた。今はお茶のみでお酒を飲むことはない。また年1回農協の仲間と一緒に温泉に行く。その折貯金から少し補助がある。
 講の方のお嫁さんは「老人が出席しなくなると、若い人が変わって参加して講は絶えることはないと思います」と話しておられた。
 また「御神酒を上げるので昔は神様で、今は線香をあげ、お経を唱えるので仏様でしょう。神仏混淆でしょうね」と話される方もある。
            (昭和62年3月31日・内田政人氏)

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村人の祈りが聞こえる

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