岩船地蔵盆(祇園さん)


7月23日
若槻田子 地蔵尊の前
組織   田子区民
御利益  延命 雨乞い 風邪の予防
古文書  あり 
石像石塔 岩船地蔵尊

 崇拝対象は岩船地蔵と呼ばれる、船の上に乗った地蔵尊である。供物は、えんどう豆。その他は季節に穫れる野菜、酒、ぼた餅、勤行は午後8時から10時まで、地蔵院の住職の読経があり、獅子舞、ぼた餅を配る。のち直会をする。
 伝承として、田子部落の大工である原田竹一さんが病気で寝こんでいた時、枕辺に田子川の辺りにいる船地蔵が立ち「ここでは子供達が遊びにきてくれない。竹一さんの北側の空地は子供達の遊び場だ。そこへ是非移してほしい。移すには、そこの土を飯綱山の峰へ持っていって祀りそこへ私を置いてほしい」と告げられた。竹一さんは区長などと相談し、明治38年より現在の所へ移したという。
 地蔵盆は毎年かかさず行っているが、大正13年の大早魃の時、田子の若者達が地蔵さまの首をくくり、二人で担ぎ、田子神社の清水へ投げこんでおいたという。雨が降るまでと願をかけたところ、不思議なことに雨が降ってきたという。それ以来、早魃の時はこの地蔵さまを田子の清水に浸す行事が習慣となった。
 地蔵盆にはまた、地蔵さまに供えた「ぼた餅」を食べると風邪をひかないといわ
れ、子供達は区長夫人からぼた餅をもらい家に帰る。大人達は獅子舞がすむと直会に入る。酒のつまみにはえんどう豆が必ず出る。その結果、誰ともなくおならが出るので、大人達は地蔵さま
がしたと「へっぴり地蔵」と渾名をつけて親しんでいるという。
            (昭和57年7月23日・原田竹一氏)

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信州ふるさと通信
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