伊勢講 (おいせさん)


2月2日頃
長沼津野 八幡社 地区公民館前庭
組織   津野地区の人 地縁
御利益  お仮家を焼いた煙を浴びると一年中無病息災である 代参人が入浴した残り湯を使うと、安産できる 水難除
古文書  伊勢講は文政年間から始まったといわれ、代参人名簿がある

 崇拝対象は伊勢皇太神宮である。伊勢講は以前は全戸加入だったが現在は希望者のみ参加、男女どちらが参加してもよい。代参人は昔は二人であったが現在は四人で、伊勢外宮、内宮を参拝し、初穂料と地元産リンゴを奉納する。日取りは当番の都合のいい日、帰って来る日は、日曜に合わせる代参人は朝8時に、八幡神社に帰郷し、拝礼をする。総代、区役員などが出迎える。伊勢参りを済ませた代参人を伊勢神宮の神とみなし、葦と藁で作った「お仮屋」と呼ばれる小屋に迎かえ入れるが、代参人は江戸時代から伝わる習慣通り後向きで小屋に入り、お神酒一杯を飲み、田作り、きんぴらごぼうを食べる。食べ終わると役員が背中側の壁を取り外し、後向きのまま外へ出る。お仮屋は公民館庭に建てられ、この後「連れてきた神」を伊勢神宮へ送り返すためお仮屋を焼いて神事を終え、各戸へお礼を配り直会をする。
 次回の代参人は、希望者が四名あればくじは引かないが、希望者が多くても少なくてもくじで決める。直会は缶詰一ケ、お酒九升で、代参人の家から漬物、おひたしなど簡単なものが持参される。
 お伊勢さんは水難をさけるという信仰があり、この地方は水難が多いので代参は欠かさず行われてきたのであろう。昔は伊勢田を作っていたからその収入を代参の費用にあてたが、現在は区費でまかなう。昔は丹波島橋ふもとまで送り迎えをしていたが、今は代参人の家族が長野駅まで送り迎えをする。
            (昭和62年2月8日・清水平一郎氏)

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信州ふるさと通信
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