道祖神



郷愁 

「男女七歳にして席を同じうせず」という封建時代
新婚の花嫁は、二人の洗濯物を同じ竿に干すことさえも恥ずかしくてできなかった時代に、私たちの祖先は仲睦ましい男女の双対像を造って村々の入り口に据えまつりつづけた平和な故里
今もこの神々がたたずむ安曇野 穂高の町を訪れるとき
私たちに確かなこころの故郷を視ることができる。


 憧憬と思索の町・・・・・穂高

 安曇野 はるかな古代から 安曇野族によって拓かれた郷 西の山麓に 祖先の暮らしを偲ぶ 古墳群 魏石鬼の岩屋と「八面大王」の 伝説に因むあの村 この村 安曇野の野山に 神々を鎮める穂高神社 有明山神社と村々の鎮守の森 満願寺 宗徳寺 東光寺 青原寺 正真院 松尾寺 正福寺 妙法去 妙教寺 朱印寺あり観音札所あり 仏を護る寺院 堂庵いずれおとらぬ古刹名刹

 安曇野 この大自然と風土に育まれ 近代日本の夜明けを担った人々 自由民権運動の旗頭 松沢求策 明治大正の思想文化に深い影響を与えた 教育者 井口喜源治 近代彫刻の先覚 萩原碌山 彼らを支えた 幾多の人間の夢と理想とロマンを語りかける 記念館 美術館
 名もなく貧しく ただひたすらに水を引き荒野を拓いた庶民の暮らしを展示する郷土資料館
 日本最古の本棟造り 重要文化財の曽根原邸
 西に北アルプスの鋭峰がそそり立ち 東にのどかにひろがり ここに生きた 人間と歴史とドラマ
 をつつみこむ 安曇野 信濃路自然歩道 安曇野ルートは「点」としての これら文化財 遺跡 景勝をつないで「線」となる 清流を渡り 野をよこぎり 山裾を縫い「面」となって広がる 郷土の味を産む ワサビ園 ニジマス養魚池をめぐり 天蚕の育つクヌギ林をすぎアルプス米の 穂波の中をゆく 道すがら 野末に村々の辻に佇む 石神 野仏 道祖神との出会い
 四季折々に 土のかおり 中房から引いた湯の香をのせて 訪れる人をかぎりなくなつかしい 心の故郷・郷愁の世界・へと誘ってくれる 安曇野


■道祖神のおこり
  安曇野の中心、穂高町には、古い道の辻や村はずれの路傍に、庚申塔、二十三夜塔、馬頭観世音、大黒天、名号碑、地蔵尊、道祖神など多種多様の石神石仏の像や碑が集めて祀られている。
 なかでも道祖神は男女の二神が仲むつまじく並んで立ち、その姿は互いに肩を抱き酒器をもつもの、手を握りあったものが多い。庶民の信仰として温かい平和な村づくりを表徴している。道祖神の起源については必ずしも明らかではないようであるが、次のように言われている。
 日本に古来からあった生産、生殖の神として、五穀豊穰や子孫繁栄、縁結びの願いをかけたものという。また「古事記」や「日本書記」などに記されている、「岐神」「塞神」として、自分達の村に悪いものが入ってくるのをさえぎる護り神と信じて祀られたともいう。さらにこの「記紀」の神話では天孫ニニギノ命を天八?に迎え、道案内をした「猿田彦命」が道祖神となったともいう。
 中国古代の道の神の思想が日本に入ってきて、日本の古代信仰と結びついて、「旅」や「道」を守ってくれる神として、「道祖」の文字があてられたともいう。
 私達の祖先は「どうろくじん」「どうそんじん」などと呼び、さまざまな願いをかけてこの神様を祭り最も身近な神として親しんできたことは確かであろう。







村人の祈りが聞こえる

信州ふるさと通信
インターネット安曇野
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