Iターンネットワーク 新・信州人倶楽部 |
〜第40号〜 |
●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●●
〜おいしい味を、少し〜 −25−
中澤 滋
最近は大手企業から流通業・小売り店でも虚偽表示が日常茶飯事となっていて、納期や数量が間に合わなければ中国産を国産としたり、あるいは初めから儲けるために原産国を偽る業者もいます。昨日のラベルの上に本日のラベルを貼る小売店もあり、昔からありましたが傷みを隠すような包装・パックも当たり前となっています。レモンなどはへたの部分を内側に4つをパックするなど、鮮度情報を隠しています。このような“隠すこと、ごまかすこと”を昔からやってきたので、「まあいいか」で虚偽表示をしてしまうのでしょう。 今、狂牛病問題から鯉ヘルペス、鶏インフルエンザが身近な問題となり、中国、台湾、韓国などで汚染されているアフリカ豚コレラの上陸も懸念されています。これらの安全問題は飼育、養殖方法の効率・利益優先が招いた結果だと考えられるようになってきました。しかし企業・業者の不祥事が多すぎます。顧客無視の生産現場の現状を見る思いです。 ところで抗生物質の年間使用量はヒト向けの医薬品に約500トンですが、牛など畜産現場で使用されるものが約900トン、養殖が200トン、農産物が約100トンもあるといわれます。病院での耐性菌の原因となる抗生物質が、農産物などにはそれ以上に投与されている、というのは大きな問題で、薬漬けの食材を食べていることの不安が増します。そこで今回は安全で安心して食べられる卵の紹介です。 |
◆みたぼら卵◆
昨年会員になった伊豆さんが経営する阿南町の「みたぼら農園」では、平飼い鶏の卵を中心とした農産物を生産しています。「環境に心を配り、自分たちの子供にも食べさせられる品を作っている」という伊豆さんに興味を持ち、去年の春に訪ねてみました。
驚いたことに鶏舎は普通私たちがイメージしている、酸っぱいようないやな匂いが無く、鶏舎内に入っても“ふすま”みたいな乾いた餌の香りがするだけでした。聞くと中身の安全が分からない農協の配合飼料などは使わずに、農園でとれる野菜など全て自家製の餌をあげている、というのです。健康な鶏だから病気にならず、消毒したり抗生物質を与える必要も無く、安心して食べられる健康な自然卵ができる、というのです。
私たちは以前、スーパーの安売り卵、1個10円以下を買っていた時期もあり、その後は1個25円程度の卵にしていましたが、たまに1個50円位の卵を食べても味の違いがよく分からないのでした。伊豆さんの卵は1個50円で少し高いようですが、考えてみれば昔から値段が上がらない卵なんてちょっと変です。狭いケージで運動もできない病気がちの鶏には薬漬け、無理やり短期間に育てて卵を産ませる、そんな異常な生産現場を私たちは直視せず、「安ければいい」という風潮に乗っていたようです。
さて伊豆さんの卵の味について報告します。まずは卵かけごはん。殻を割った卵ですが、透明でとても厚みのある白身の真ん中に、まん丸の黄身があるのです。私は「まるでUFOみたい!」と思わず言ってしまいました。
ご飯にかけてさらに十分かき混ぜると、泡がすごくでてきます。これは女房のやり方なのですが、こうするとプリンみたいに柔らかな舌触りと味で、とても美味しいのです。黄身はとろっとして甘く、今まで食べていた玉子のツンとくるような刺激的な味ではないのです。生卵が苦手の女房も、「伊豆さんの卵は食べられる」と満足顔です。
目玉焼きにすると白身のしっかりとした腰のある弾力が独特で香ばしく、カナダで覚えたひっくり返す(オーバー)、いわゆる“サニーサイドダウン”にします。この言い方がちょっとかっこいいので気に入っています。ちなみに普通の目玉焼きはサニーサイドアップです。そしてできた目玉焼きは、半熟の黄身の甘いこと、もったいないのでこぼれた黄身はお皿に残さないでパンで綺麗にふき取ります。あるいはお皿をなめちゃいます。
さて卵焼きですが、これがまたとても美味しいのです。だしを使わないのにこくと品のいい甘さがあり、そして表面の香ばしさが際立ちます。腰のある弾力は、まるで上等なかまぼこのようなのです。こんな卵焼き食べたことがありません。
ということでそれからは3週間から4週間毎に50個の卵を頼むようになりました。野菜室で保存すると鮮度が保てる、というので最後の卵まで美味しく頂けます。有機栽培の野菜などの食材、そしてそれらを使った安全で安心できる食品は美味しい、ということが卵でも全く同じだったのです。卵の味に無頓着だった自分たちを反省してしまいました。
その後、卵にはちょっとうるさいという会員の鈴木英樹さんにも食べて貰ったところ、「甘い、これは本物だ!」との評価でした。皆さんもだまされたと思って、一度食べてみてください。美味しいですよ。
毎日卵を食べている人は多いと思いますが、その殻は何気なく捨てていることだと思います。私の場合、マイボトルに色が付いてきたら、粉々にした殻を入れて強く振ってきれいにするくらいです。草花の肥料として鉢に殻をおいている人も最近では滅多に見なくなりました。
そんな殻の再利用として、黒板で使うチョークがあるということを最近知りました。年間数十トンという殻の有効利用で、黒板で使った後の粉は土壌に混ぜると肥料になるので、卵を完全に使い切ることができるといいます。開発したのはグリーンテクノ21(電話0952-34-5715、http://www.green-21.com/)で、商品名はコッコチョークです。健康に気遣いたい学校などでの利用が進めばいいと思います。
同社では卵の殻にこだわり、いくつかの商品を開発していますが、土壌改善用の「大地のファンデーション」というのは、酸性土壌を改善するもので、石灰では水に溶けて効果が持続しないところを、酸やバクテリアにより必要なときに必要な量だけ溶け出すというすぐれもののようです。今年はこれを使ってみようと思います。
●会報目次●
●みんなで発信●●おたより紹介●●今までの活動の紹介●●新・信州人倶楽部に興味のある方へ●
●TOPページ●
●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●● ●●●