Iターンネットワーク

新・信州人倶楽部

▲▲▲ 新・信州人倶楽部報 ▲▲▲


〜第4号

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〜Iターンの原動力とは〜


中澤 滋


 Iターン者あるいはこれから田舎に移住しようとしている多くの人にとって、田舎の自然環境の良さが大きな魅力となっていることでしょう。山が好き、つりが好き、スキーが好き、カヌーが好き、といったアウトドア志向の人も多いと思いますが、住環境としての空気や水、騒音、そして雄大なアルプスの景観などの魅力、あるいは子供のためによりよい環境を求めてという人もいるでしょう。
 それでも生まれ育った町からこれからの人生の大半を田舎の生活にしようとする(田舎に来るからにはこんな気持ちになったと思いますが…)原動力は何なんでしょう。都会で暮らしている人の多くは田舎出身で、学生時代、就職、結婚といった節目ごとに転々と引っ越ししています。彼らにとって住む場所とは一体どんなものなのでしょうか。

 経済的で自分のライフスタイルに合う環境として、いろいろな条件の中からアパート、マンション、一戸建てなどを借りるか購入することになります。決定に至るには仕事場である会社の物理的な位置・通勤時間が他の要因よりも重要視され、自然環境よりもバス停が近くにあること、といった経済優先行動をとることになります。
 その結果、ほこりや車の排ガス、工場からのばい煙や異臭、車や鉄道の騒音やカルキ臭い飲料水など不快だらけの環境に加え、通勤ラッシュなどによる直接的なストレスにもさらされますが、それでも頑張って?生活し続けます。

 都会生活と会社で働き収入を得ることのどちらが大事かというと、おそらく「会社」といった答えが返ってくるのでしょう。人事異動などで部署替えや支店への出向(田舎への単身赴任もあります)など大体の人はその処遇に甘んじています。ですからたまたま就職した会社が都会にあったということで、特に都会にこだわっている訳でもないようです。都会では芸術・文化に触れることが多いなどと言う人もいますが、実践しているのはごく一部の人で、大多数の人は1年に1度も美術館に足を運ばないものです。本当に好きな人は北海道にいても東京の美術館に出向くことはいとわないでしょう。その気があるかどうかに関わってくるものだと思います。
ところで遊園地や動物園などは結構利用されており、いろいろな楽しみを与えてくれる施設やお店が都会人のメリットとして浮かび上がってきます。楽しいこと、おいしい食べ物、流行の服など、消費経済を操る人・企業にのせられた都会の人は、その代償にストレスのたまる生活を強いられるのです。狭い家にあふれんばかりの物を買うことでかろうじて精神の安定を図っているような人々。よりよい環境(他人に与えられた価値観)を求めるためにはもっともっと残業をしなければならない人。
 彼らにとっての自然とは一体どのようなものでしょうか。自身のリラクゼーションのためだけと捉えているような気がします。疲れた体をいやすために豊かな自然の中に一日いることで何か感じるものがあるのでしょう。都会の中の療養施設(アロマテラピーや音楽療法などおよそ療法と名の付く場所)を好んで利用する人もいるようですが、そのような場所に行くことからして病んでいると思います。彼らにとっての自然とは、自らの病めるからだ・精神の療養に利用するといった側面(メディアによる情報の氾濫により、一種の脅迫観念的な状況に陥っているのでしょうか)があるようです。そのため自己のリフレッシュ感だけが目的となり、また交通費・宿泊代など金銭を払うために一種の買物感覚になっているようです。つまり自然(いろいろな側面がありますが)を購入できると思っている人達なのかもしれません。

 ところでIターンしてきた我々はどうだったかというと、程度の差こそあれ同じようにとらえていたのかもしれません。もちろん自然の中にいなければ生きていけないといった、先駆者的な人々はいました。ただ一般人からみると、彼らは「人とは違ったことをしたい」という自我を主張するために、自然の中に飛び込んだような気もします。ですから誰にでもまねができるといったものではなく、そのまねをするとなるとかなりの決断が必要であったように思います。
 最近のIターン者(私を含めてですが)は、そんな肩ひじ張って来たのではなく、田舎と都会の選択肢の中から田舎に価値観を見出した人達のように思えるのです。それでも人生の転機ですからそれぞれ悩んだことと思いますが…。ただ価値観の多様化からか、仕事にこだわらず物的欲求にもあまり執着せず、都会も田舎も同じような就業場所と思う人も増えているように思います。

 人生そのときどきで価値観にも変化があるだろうし、たまたまIターンで信州に来たものの、ここよりもっと自分に合った場所があるかもしれないと思うこともあるでしょう。年をとったら信州の冬は厳しいと感じ、暖かい静岡県など移り住むこともあるだろうし…。
 こう考えてくるとIターンする原動力とは、人から与えられたもので満足できない、あるいは満足してはいけない、といった自分の人生を自分の責任で生きていく態度ではないでしょうか。そこで、Iターンする人は特別の人ではなくごく普通の人で、生き方についての哲学がちょっとある人、だと思いますがどうでしょうか。



〜無題〜

くじけそうになったら
梓川にケショウヤナギを見に行こう
新芽の息吹が生命の鼓動を教えてくれるから。

弱気になったら
御宝田に白鳥を見に行こう  
シベリアまで飛ぶエネルギ−を
分けてもらえるから。

悲しくなったら
満天の星の中に昴を見つけてみよう
何万光年の光が
君の涙を消してくれるから。

疲れたら
立ち止まって野の花や虫を探してみよう
どっこいここに生きてるよと答えてくれる。

寂しくなったらみんなで飲もうじゃないか
悩んでいるのはおまえだけじゃない
と解かるはずだ!

BY ETSUO




会員紹介

今号では1人の会員に登場してもらいました。


第4回例会(総会)のご案内



情報交換

■今月の推薦図書

『富士見高原Iターン物語』
村上方子著 山と渓谷社 1,600円

<石田さんの感想>

 八ヶ岳山麓の富士見町に土地を衝動買いしてしまった都会育ちの一家が半ば強引な形でIターンした。いろいろあったが、まあ、こんなもんですよ、どうにかなるって、それだけの話だ。と、著者はまえがきに書いていますが、悪戦苦闘ぶりをユーモラスに描きながら、しっかりと地に足をつけ、生活して行く力強さや、さまざまな活動を通して精神的にも充実していく過程がよく表現されていると思います。
 我々、新・信州人倶楽部の人たちにも相通じるところ、わかるなーと思う点が随所にあるのでは?田舎暮らしにあこがれている都会人にも励ましや参考になると思います。
 やさしく、口語体で書かれていますので、読みやすい本ですよ!


『カントリーウォーク』
桂瑛一著  新葉社 2,381円

<Kさんの感想>

 日本のホ−クロアとしての稲作文化それを生み出した農村風景、ここには観光では味わえない心の安らぎや原体験としてのロケ−ションがあります。スケッチブック、カメラを持ってあぜみちを歩いてみませんか、「カントリ−ウォ−ク」はその楽しみ方魅力を紹介しています。



その他の連絡事項

◆Iターン相談口窓口登録者
「よりましょ」3号で触れたIターン相談窓口に登録いただいた会員(リーダー以外)をお知らせします。
 自営独立相談:Eさん
 企業就職相談:Sさん、Sさん、Tさん
これから信州に移り住んでくる人の悩みを、皆さんの協力で解決していきたいと思います。

◆バードウォッチングについて
2月下旬の予定をしていましたが、今年は大雪などのために足場が悪く、もう少し暖かくなってから計画します。 (N)


編集人から

 第4号会報「よりましょ」をお届けします。

 ようやく庭の雪が消えましたが、フィールドにはまだ雪が残っています。雪が降るとなぜか浮き浮きして、結構楽しい雪かき?も今年はもう十分やったような気がします。本当に今年の雪の量は大したものでした…。雪に埋もれた庭に余ったりんごなど置いておくと、ヒヨドリやツグミが争って食べに来ていました。彼らの必死な姿が印象的な冬でした。

 さて今年の我が新・信州人倶楽部はどういう展開になるのでしょうか。4月の例会には多くの人の参加を望みたいと思います。

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会報目次

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