Iターンネットワーク 新・信州人倶楽部 |
〜第32号〜 |
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〜町村合併に思うこと〜
H.N.
会報の原稿を是非にと事務局よりの要望もあり、筆をとることにしました。
最近、町村合併の報道が多くなりました。合併して行政区を大きくすれ ば、地方交付税を減額しない(今後10年間のことの様ですが)等の、国の合併促進策により各地で合併の議論が進められています。安曇野の我が村でも、今合併が進められようとしています。そこでこれについて今、私の思うことを書いてみようと思います。
私は定年後の余生を過ごすため、長年住み慣れた人口130万の地方都市から人口1万人弱のこの安曇野の村に移住してきました。移住後1年半になりますが、行政サービスの面で、前の都市より今の村の方が格段に優れていることを感じています。例記しますと、
1. 年に1度、人口1,000人程度に分けられた地域ごとに、村長、役場幹部と住民(議員を含む)の直接の対話集会があり、行政に関する報告・討論が行われる。
以前の都市では人口10万人〜30万人程度の地域毎に区役所がありましたが、このような住民に密着したきめ細かなサービスはありませんでした。やはり、今の村のように1万人程度の行政区の方が理想なのでしょうか。
このような状況の中、現在の村は周辺町村併せ10万人程度の行政区として合併されようとしています。しかし、このような都市と村の行政サービスの差を考えると、10万人程度の行政区に変われば周辺区となる現在の村は、果たして今のようなきめ細かな行政サービスや自然保護に対する取り組みが行われるだろうか、と考えさせられます。
現在、この村の地方交付税は、村の予算の約25%を占めていますが、仮に半減させられたとしますと、予算が約13%減少します。しかしこれは今後10年間の問題です。もし10年間、コスト削減などで辛抱できるなら現状のままで行政、住民が一体となってがんばり、これまでのように地域のあったきめ細かなサービスや地域の豊かな自然を守る方が住民にとって幸せなように思えるのです。
尤も合併の目的である行政の効率化により財政の改善や、より充実した福祉、医療、教育の他、現在村にない健康増進施設(温水プールなど)や、本格的な図書館、バスなどの交通機関等が整備され、また、従来以上の行政サービスや自然保護に対する取り組みが行われるのであれば合併万歳ということでしょうか。
会員の方々のご意見、感想を伺う機会があればと思います。
〜おいしい味を、少し〜
中澤 滋
今回は美味しいパン屋さんの紹介です。以前紹介した新潟のパン屋さん「むぎばたけ」は美味しく、今でも20日ごとにイギリスパンなど3斤分を5本買っています。しかし生で食べられるのは配達のあった当日と翌日で、あとは冷凍して毎朝のトースト用となっていました。またフランスパンが通販では購入できないのが悩みの種でもあります。 |
ある日、村井の方に「トムソーヤ」というパン屋さんが場所を移して新装開店、という記事を見つけたのです。早速出掛けたのですが、今晩の夕食にフランスパンがないと困るので、“安全パイ”としてサンジェルマンに寄りバタールを購入。その足でトムソーヤへ出向いたのです。
着いてみると店の扉は閉まったままで、その前に3名ほどの人が待っているのです。もうオープンしているはずなのに、どうやら店内のパンが無くなったので次のパンができるまで待っているらしいのです。まさかこんな所で並ぶなどと思っていなかったのですが、ここはじっと我慢です。10分程度待ち、フランスパンとライ麦パン、ベーグルなどを買ってきました。
その夜は魚のムニエルにチーズ、サラダとワイン、そしてフランスパン、というディナーでパン比べをしたところ、トムソーヤのパンが断然美味しく久々のヒットでした。何よりも小麦粉の香ばしさと甘さが感じられるような、カリッとした皮も良く、そして生地に鼻を付けてみるとイーストの柔らかい甘さがスーッと抜けていくような、そんなやさしいパンだったのです。一方のサンジェルマンのパンは、粉ッポさが残っているというか、小麦の香りもイーストの香りも何か渋みのあるような味で相殺され、噛んでいて楽しくないのです。今まで単品で食べるときにはそんなに感じなかったのですが、「ああ、これはいつぞや軽井沢の「浅野屋」のパンがまずくなったときの感覚だな」と感じたのです。きっとそれらのパンには何やら訳の分からない添加物や香料が入っているのだと思います。
その後数回利用していますが、イギリスパン、プルマン、天然酵母のライ麦パンなど、どの食事パンもとても美味しいのです。生地は無添加、卵を使用しているのは1種類のみ、バターもほとんど使用せず、食事パンには一切使っていないということです。またパンによって数種類の天然酵母を使い分けるなど、充分手間をかけているようです。最近のパンは甘くて柔らかくて、とってつけたような香りや旨みに走り、小麦粉の香りや味など素材のおいしさを感じるパンはほとんどありません。ここのパンは、おそらく松本地域で唯一まともなものだと思います。
ライ麦パンは日替わりでフルーツの入っているものなど各種ありますが、私は土、日限定のパン・オ・ルヴァンとファイバーブレッドが好きです。最近多くのパン屋にもあるベーグルですが、ここのは生地が美味しく、また焼く前にお湯に生地を浸ける製法で、そのもっちり感にファンも多いようです。なかなかの味です。
私はケーキにはあまり執着が無く、味を見るくらいで一口程度しか食べませんが、エスパの400円以上もするモンブランを食べるくらいなら、ここのマロンクリームの菓子パンの方がずっとましに思えるほど、菓子パンもあくや嫌みのないものです。
ここでは1日にできるパンの種類と量に限りがあり、また日替わりや時間ごとに出てくるパンも多く、それらがすぐに無くなってしまいます。したがってこまめに出向かないといけないお店です。しかし店主の「食事パンには絶対の自信を持っている」という言葉だけあり、味は確かです。食事と一緒に味わえる本当の主食としてのパンを探している人には、要チェックのお店でしょう。もちろん菓子パンもいっぱいありますので、その方面の方にもいいと思います。
なにはともあれしばらく「むぎばたけ」はお休みにして、トムソーヤに通い詰めることになりそうです。お店は各種パンの焼き工程があるため、10時、12時半、3時半の3回開店しますが、開店時間には店に行った方がいいでしょう。パンが無くなると閉店になります。定休は火、水曜日で、電話は0263-85-1313です。
〜信州方言一刀両断 〜
E.K.
今回は前回の続きで食べ物に関しての言い廻しだったが、最近特に気になる言い方があったので、それを先に述べることにする。皆さんもすでに「ごちそうさま」にあたる「いただきました」という言い方は耳にしていると思うが、これに連動するかのように、信州の人は今起こっていることでも過去系のような言い廻しを使うようだ。
何か物をもらったときに東京近辺では「ありがとうございます」と言うが、この地方は「ありがとうございました」と言うことが多い。「おめでとうございます」も「おめでとうございました」という。あまり頻繁ではないが「おはようございます」も「おはようございました」(発音はおはようござんした)と言う。いま目の前で起こった事象であれば「…ました」と言う過去形ではなく「…ます」の現在形が通常だと思うのだが。
会話は普通口語調で語られるが、信州の会話では口語なのか文語なのか戸惑うことも良くある。「山へ行く」は普通「やまへいく」と発音するが、この地方は「やまへゆく」と字の通り発音し、「良い子だね」も「いいこだね」ではなく、そのまま「よいこだね」と言う。
「満喫」と言う言葉はあまり会話の中で使わないが、どこかへ遊びに言って友人に向かって「満喫したかい」とか「これじゃ満喫しねえずら」などと言ったりする。
通常書き言葉でしか使わない言い方を耳にすることもしばしばある。さすがに蝶々を「てふてふ」さようならを「さやうなら」とは言わないようだが信州には古語の言い方が残っているのかも知れない。
受動態と能動態の言い方も気になる。何か行事の募集があるときに村の有線では「参加されます方は…」と言うが、これは「参加する方は…」である。何か「…される」と言う言い方のほうが丁寧だと思っているのだろうか。信州の放送局のアナウンサーが使う「リクエストをくれた方」という言い方も「リクエストをいただいた方」と言うのが通常だと思うがこれも信州独自なのだろうか。
以前にも書いたと思うが結婚に対しての「仲人(なこうど)」を「おちゅうにん」と言う。「土(つち)」を「ど」「岩(いわ)」を「がん」と会話の中で使う言い廻しは寺子屋が日本一だったと言う信州の教育の名残りなのだろうか。
そういえば「可哀想な」「気の毒な」という意味の「もうらしい」や「役立たず者」「ものぐさ太郎」の意味の「タークラタア」は「御伽草子」に由来していると言うから信州もかなり古い言い廻しが残っていると言えよう。
先日畑からニンジンを収穫してきました。部屋の隅のおいて半日ほど経ったころ、女房が「何かイモムシがいる」というのです。見ると、アゲハチョウの幼虫がニンジンの葉っぱを美味しそうに食べているのです。このままにもできないし、外に捨てるのも可哀想だし、庭にはこの幼虫が食べる食材がないかも知れないと思い、次の日に小さなニンジンごと庭に植えて幼虫も引っ越ししました。そして次の日に見に行くと、もうどこにもいないのです。大丈夫だったのかな、と少々心配ですが、「生き物は強いからきっとどこかいい場所を見つけてくれた」と勝手に思っています。でも身近に自然があるのっていいですね。
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