Iターンネットワーク

新・信州人倶楽部


▲▲▲ 新・信州人倶楽部報 ▲▲▲



第21号

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〜暇人の田舎ぐらし〜

Y.N.

 暇人を決めて信州inをして、早3度目の冬を迎えようとしています。今どき忙しいといえるのも暇人ゆえのことでしょうか?東にワークショップ、西にコンサート、南に美術鑑賞、北に山登り……、というあわただしさ。その間に街からの客人到来、格安の早朝風呂に出かけ、朝日を浴びながら湯けむりにしばし身をあずけ、春ともなればいながらにしてタラの芽や野草に舌づつみをし、せみのジージー鳴く季節には風流体験に蚊帳をつり、秋の夜長になれば月光浴は庭先で、こおろぎやすず虫の音の波にひたる。肩をすくめる風を感じたら、丸い囲炉裏を囲み炎に見とれ一時を忘れる…。

 暇人の2年はこのようにして過ぎてゆきました。ところが今年、新しく手がけ熱くなっていることが1つあります。竹紙漉きです。若竹をくだき、煮て、ドロドロにし、最後に紙漉をして乾かします。文字で書くと簡単ですが、これが思ったより大変で、仕込みは1年前からです。ありがたいことに原材料の竹は、春ともなればここかしこで不自由はしないのですが、「雨後の竹の子」の勢いと、有効利用のバランスが合わないためでしょうが、竹林の荒れが目立ちます。竹炭も大いに出まわって欲しいと願ったりしています。



 さて、「竹」ですが、この個性はとても一言では表せません。最近の雑誌「銀花」で特集がありました。竹についての興味がますます深くなりそうです。「竹」を知り、「竹紙」をつくり、どう扱ってゆけるのかがこれからの暇人の大きなテーマです。ちなみに私の友人は竹の内側に絵を描いてます。



〜私の近況報告〜

M.H

 私のことが紹介されたのは「よりましょ」のNo.14でした。あれから1年ちょっと過ぎて、状況は少し変わりました。まず、去年はフリーターだったんですけど、今年の6月に介護関係の仕事に就職しました。今までは事務職をしていたのですが、今後のことを考えると事務よりも、このような職種のほうが仕事を探しやすいと思ったからです。

 信州への移住は少し遠のいてしまいましたが、少し経験を積んで、なんとかこの仕事で信州へ移住できないかと思っています。就職してしまったということで、今年は移住に関する情報収集はほとんどしておらず、信州へはもっぱら趣味の写真を撮りに通っていました。

 雪道は運転できませんので、雪解けを待って4月に出かけたのは、長峰山や姫川源流あたりでした。長峰山には雪はありませんでしたが、姫川源流はまだ雪の中でした。4月末には「よりましょ」のNo.17にも紹介されていました光城山へ桜の開花に合わせて登りました。7月には北八ヶ岳の白駒池あたりを散策し、にゅう(山の名前です)に登りました。8月は乗鞍のお花畑を散策し、栂池自然園で高山植物の写真を撮りました。10月になると紅葉を撮るため白馬乗鞍に登ったり、池田町の大峰高原へ出かけました。11月の初旬にはビーナスラインへ出かけて晩秋の風景をカメラに収めてきました。

 こうして今年一年を振りかえってみると、本当に何度も信州へ出かけているのだと、我ながら感心してしまいました。これで今年の信州への訪問は終わりになると思います。冬の風景も撮りたいのですが、雪道の運転には自信がありませんので、また春になったら信州へ通いたいと思っています。毎回200キロの道のりを行くのも大変ですし、冬の信州も撮りたいので、やはり早く信州へ移住したいです。

 いちばん早いのは、信州へお嫁に行くことだと思うのですが…。どなたかお嫁にもらってくれそうな方、みえませんでしょうか?




第17回例会報告



〜言葉の散歩道〜

“おはるか”

M.S.


 この言葉も前回のメスキータに似て、別の意味でイナカ言葉らしからぬ響きをもった素敵な方言だ。そこになんとも云えぬ雅(ミヤビ)な感じを受けるのは、私だけだろうか。王朝時代の雰囲気が偲ばれる、と言ったら言い過ぎだろうか。

 さて、その意味するところであるが、“はるか=遥か”という言葉から派生して、「時間的に遥かな間隔をおいた状況」…、つまり“お久しぶり”という意味につかわれているらしい。当地の女性が「おはるか…」などと言っている姿は、一瞬優雅に見えるから不思議である。信州人もなかなか味な文化をもっているもんだ。


〜おいしい味を、少し〜


中澤 滋

   今回は何回か訪れた、大町市の手軽なビストロ風フランス料理店を紹介します。

むっしゅう

 オーナーは以前、大町市の「くろよんロイヤルホテル」でシェフとして勤めていたといいます。その後、都会に戻ったものの、信州への思いが強く大町に移住、そして今年に店を構えたとのことです。

 ランチメニューは数種類だけですが、800円から1,000円程度で気軽に、そして明るい雰囲気の中で食事ができます。スープ、サラダが付いた定食やオムレツのランチは日替わりではなく、毎日同じものが用意されます。味は基本に忠実で、ことさらメリハリをつけることもなくシンプルなため、「香草類やスパイスをもう少し使っても良いかな?」と思ったりもします。しかし、ポタージュでは小麦粉の炒めた香ばしい香りがきちんと出ていて、ソースや肉もていねいに調理された味になっています。このような料理ですと素材の味まで細かく感じようとする、ちょっと深い食の楽しみ方もできます。お客さんを見ていると、近所の方や観光客もいて、どうやらオムレツが人気のようです。
夜の料理ですが、「少し前に予約してもらえると、予算や好みに応じて材料を調達します」と言っていました。そのときに一番いい材料を適切な場所から購入してこよう、という姿勢が感じられ好感を持ちました。

 最近は見かけや量、そして味も濃いめで派手?な、しかも手抜きというような雑な料理の店も多く、メリハリだけの“勢い?”で食事する人向けになっているように感じます。テレビの料理番組などを見るといつも感じるのですが、甘い、辛い、堅い、柔らかいといった、どちらかというと“味覚”というよりは「冷たい、痛い」といったような感覚で味を判断しているような言葉が多いようです。しかも「柔らかいからおいしい」というような、ニュアンスが多すぎます。「肉を味わうのに、塩・こしょうは使わない」という極端な人もいますが、それはさておき素材の味を楽しめない人には「むっしゅう」は少々向かないかもしれません。しかし、いつ行っても安心できる味、そんな好感の持てるお店であることは間違いないでしょう。

◆ところが2006年12月に訪れたときはその味が全く変わってしまい、素材を大事にしない塩や醤油の濃い味付けになってしまったのです。

ポタージュは変哲のないものでインスタントのようで香り無く、クリーミーさがかけているし、生クリームも高いので使わないのでしょうか。

サラダは醤油味のドレッシングで塩からいし、どうせ和風にするのなら大根おろしやタマネギなどすり下ろしたのを混ぜて、ストレートな醤油味を隠せばいいものを…。

私の鳥肉のソテーにマッシュルームを和えたソースがかかったメインは、ソースガ塩辛くて全く閉口しました。マッシュルームの香りがほとんどないのも面白くありません。

後は野菜を単にゆでただけのような付け合わせがちょっぴりついてましたが、これで1050円はひどいものです。ランチコースなのにコーヒーが付く訳でも無いし…。

女房のハンバーグは1400円くらいもしましたが、もさもさ感ばかりでお肉の香りもなく、一体どんな材料を使っているのか、という感じでした。

パンを付けてもらったのですが、これがまたまずいパンで、女房いわく「唾液が出てこないので、塩からいソースをパンにつけなければ食べられなかった」とのこと。

しかも、そのソースが私の鳥肉料理と同じソースなのにはあきれ果てました。

フレンチでもイタリアンでもない和風洋食の店になったようです。残念ですが、この店にはもう二度と行くことは無いでしょう。

以上、最近期待して行ったところ、ガッカリして帰ってきた私達夫婦の感想でした。◆


 さて、前回紹介した「すや亀」のお味噌ですが、山形村に最近できた「i CITY」内の、信州の「有名みそコーナー」に置いてありました。大吟醸みそ500gが500円、コシヒカリみそ500gが700円でした。味に興味のある方は、是非試して見てください。



〜北小野だより〜

“ 改正JAS法”

K.S.

 ここ北小野ではお菜洗い(漬け物のために、野沢菜を洗うこと)も終り、冬ごもりの準備が急がれています。11月中旬以降、急に寒さが厳しくなり、12月1日にはうっすらと雪が積りました。急に寒くなったせいか、“やじろべえ”は家族全員風邪をひいてしまい、ずっと鼻ぐじゅぐじゅです。

  毎日の新聞に田中知事の一日の動きが掲載され、また夕方のニュースは、必ず田中知事に関するその日の話題が放送されています。前の知事の時にはなかった事。県民の関心も高いようです。住民の参加での公共事業の再検討という決定が次々と出てきますが、行政側だけでなく、県民側もこういった手法には慣れていないため、住民の意識の改革やトレーニングを積んでいく必要があるような状況です。

 さて今回は、JAS法による有機農産物認証制度につきまして、ご説明致します。昨年7月、JAS法が改正され、有機農産物・有機農産物加工食品に検査認証制度が導入されることになりました。つまり、農水省認可の認定機関によるJAS基準に基づく検査(ちなみに私はこの検査員をやっています)を受けて、認定されなければ「有機」という表示はできない(2001年4月から義務化)ことになったのです。「有機」「オーガニック」という表示が氾濫し、あいまいなまま流通していることに対し、表示に信頼性を持たせるため、また国際的に流通する有機食品に共通のレベルの規格をもつことが求められるため、認証制度が強制力のある形で導入されました。この制度は“やじろべえ”のような生産者と消費者が信頼関係の上に成り立っている産消提携関係も対象となります。“やじろべえ”では、もちろん農薬や化学肥料を使用していませんし、JAS基準をクリアする内容での栽培となっています。しかしながら、認定に関わるコストや負担の問題が大きく、当面認定は受けないつもりです。(現状の野菜パックでは、送り状(宛名書き)に無農薬・無化学肥料栽培と書かれているところのみがJAS法には抵触しますので、来年からは記載を無くします。)認定に変わるものとして、情報開示をもっと多くし、皆さんのご信頼にお応えしていきたいと思っています。(ホームページ開設にボランテイアでご協力いただける方、募集中!!)

 “やじろべえ”は自分達が食べたくないものは、皆さんには出さないのが基本です。よく、子供が病気になったら薬を与えるのと同じで野菜が病気にかかれば、あるいは虫にやられれば薬(農薬)を与えるのは当然と言われます。しかしながら、たとえ病虫害で全滅しようとも、私達は生物の多様性を守りながら、環境に負荷を与えずに野菜達の自然治癒力を高める方法を選んでいきたいと思っています。

  さて、畑の方ですが、後片づけ(野菜の茎や葉も肥料になるよう畑に戻し、害虫や雑草の根が越冬しないように耕運します)もほぼ終わり、山の畑はもう凍り始めています。立ち姿だったタアサイは寒さとともに地面にべったりとへばりついています。貯蔵用のダイコンやニンジンを土の中に埋(い)け終りましたが、ハウスの片付け、来春の温床用の落ち葉集めが残っています。12月で野菜パックの発送は来春までお休みとし、“やじろべえ”はそろそろ冬眠に入ります。皆様どうぞ良い21世紀をお迎え下さい。



編集人から

 この冬は雪が少なかったのですが、25日夜からの雪は5cmくらい積もったようです。庭の月桂樹、くちなし、アーモンドの冬囲いは少し早めの11月末に完了、12月に入るとすぐにスタッドレスタイヤに履き替え、と冬の準備は万全でしたが、少し拍子抜けの気分でした。まあ雪は少ない方が生活は楽なのですが…。

 今では雪が珍しくないのでそれほど感激しませんが、それでも雪が降り始めると“わくわくする気分”というのはどういうことでしょう。横浜に住んでいた頃20cmくらいの大雪を経験したことがあり、このときはアパートから鶴見の総持寺まで、クロカンスキーで下って行ったものです。都会での雪は貴重だったため、「滅多にないチャンスは逃さない」といった、どん欲な自然の楽しみ方だったのかもしれません。最近は何処へ出かけるのにも腰が重くて…(笑)。

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