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目 次 1. スクエアの認識────────────────────7 1)遺伝子的な合意事項としてのスクエアの認識…8 2)スクエア認識の入れ子……………………………9 3)基本的座標軸の発生………………………………12 4)スクエアから導かれる4の認識…………………14 5)スクエアからキュービックへの拡大……………15 2. メカニズムの基本要素─────────────────17 3. 直線運動スクエア・メカニズム─────────────19 1)4辺荷重支持理論…………………………………20 2)4辺駆動理論………………………………………24 (1)位置決め精度の向上…………………………24 (2)モーメント負荷の低減………………………30 3)4辺枠予圧理論……………………………………33 4)直動モーション理論………………………………37 5)トーション効果理論………………………………41 4. 回転運動スクエア・メカニズム─────────────51 1)スクエア回転理論…………………………………52 (1)薄型コンパクト化……………………………53 (2)大トルクの発生………………………………55 (3)回転バランス性能の向上……………………56 2)相対回転理論………………………………………62 (1)無限回転軸の発生……………………………62 (2)完全同期回転の発生…………………………68 (3)周速度差の消滅………………………………72 3)スクエア回転・直線の変換理論…………………73 5. 直線運動スクエア・メカニズムの応用展開────────77 1)スクエアロボット…………………………………82 (1)基本形スクエアロボット……………………83 a)ボールねじ同期方式……………………83 b)トーション同期方式……………………84 c)直動方式…………………………………84 (ア)ボールねじ駆動式…………………85 (イ)流体駆動式…………………………85 (ウ)リンク駆動式………………………85 (2)多連形スクエアロボット……………………87 a)ツインアーム方式………………………87 b)マルチアーム方式………………………94 c)マルチアーム・アッセンブリセンタ…94 (3)連設形スクエアロボット……………………100 a)コンビネーションアーム方式…………100 (4)多重形スクエアロボット……………………106 a)ダブルフェース方式……………………106 (5)開辺形スクエアロボット……………………119 a)ボールねじ同期方式……………………119 b)トーション同期方式……………………119 (6)垂直多関節形スクエアロボット……………122 (7)キュービック形スクエアロボット…………126 2)スクエア歩行システム……………………………128 (1)基本形スクエア歩行システム………………130 (2)交互歩行形スクエア歩行システム…………137 (3)車両歩行システム……………………………137 3)テーブルロボット…………………………………142 6. 回転運動スクエア・メカニズムの応用展開────────151 1)スクエア回転システム……………………………152 (1)スクエア回転機………………………………152 (2)スクエア回転テーブル………………………154 2)相対回転システム…………………………………159 (1)多軸相対回転…………………………………159 (2)同期相対回転…………………………………162 (3)相対旋回………………………………………166 3)スクエア回転・直線変換システム………………169 7. 直線・回転複合スクエア・メカニズム──────────171 8. スクエア・メカニズムの未来──────────────175
私がスクエア・メカニズムの研究開発に着手し早15年の歳月が流れようとしている。この間まさにライフワークとしてスクエアの認識に没頭してきたのである。メカニズムの開発は非常に抽象的であり、直感的インスピレーションが左右する研究であると言える。電気や電子工学は日進月歩のスピードで技術が進歩発展しているのに比べ機械工学の進歩発展は遅々としたスピードである。機械要素であるギアはあくまでもギアであり、チェーンはあくまでもチェーンである。エンジンのメカニズムはクランク方式であり、ポンプや水車はインペラ方式である。これらのメカニズムは長い歴史をもっても、その後の画期的進展はいまだなされていない。この原因は機械工学と電気・電子工学の開発手法の違いにあるのではないかと私は考えている。電気・電子工学は、より理論化され数式化されたロジックな思考から研究開発がなされる。つまり頭脳で言えば左脳的な知識、記憶の優先する世界である。しかし機械工学は、より即物的であり経験的な情感から発する思考により研究開発がなされる。頭脳で言えば右脳的な直感や勘の優先する世界である。
「ひとことで言えば機械工学はアナログ思考であり、電気・電子工学はデジタル思考である。」
「直感的であるをもって、詩的であり文学的である。抽象的であるをもって、芸術的であり哲学的である。」
機械メカニズムの研究とは詩的で文学的で芸術的で哲学的なものなのであろうか。私の見解はまさにそうである。機械メカニズムの基本ベースは工学的知識とそれに裏打ちされた技術であるが、それは直感的インスピレーションにより認識が飛躍した後に必要なものであり、この認識の飛躍なくして、機械メカニズムの創造的開発はありえない。その飛躍した認識は機械工学という学問的体系として集大成されている工学的知識や技術によって説明され証明され保証されていくのである。機械メカニズムの研究開発には電気・電子工学にあるようなマニュアルが存在しない。ある事柄を一瞬のうちに認識理解するのである。従来の機械メカニズムの知識や認識にこだわっていると発想がさまたげられ認識が飛躍しない。私は技術研究所の社長として後輩を指導する立場にあるが、これを教えることの難しさを実感している。同じ物を見たり、また同じ現象を見ても認識理解する事柄は千差万別なのである。どうして見抜けないのかと問ってみても見えないものは見えないのである。ではどのような技術者がこの研究開発に向くのであろう。これもはなはだ曖昧な回答になってしまうが、つまるところ私流に言わせてもらえば「感動する心をもち、夢を描けるロマンをもった男」というところである。子供の頃、ひがな一日じっと花を見ていた男であり、修学旅行の夕食時にいないことが判明し、皆で探し回ってみたら一人防波堤の上でボーッと海を見ていたような男である。要領の良さからは、その要領の良さゆえに独創的直感力が失われてしまうのである。このような感受性にとみ、一見すると要領の悪い人材こそが機械メカニズムの本質を見抜くことができるのである。そう、それはあなたなのである。私はこのスクエア・メカニズムの研究開発でさまざまな角度からのアプローチを試みた。ある時は文学をもって、またある時は歴史哲学をもって、また詩的に芸術的に、また経済学的に、そしてそのどれもが開発には有効であった。ある物事に通ずる道理あるいは真理は、どのアプローチからの認識においてもやはりまた真理であった。このアプローチ手法を使用したがゆえにこのスクエア・メカニズムは開発されたと、私は今確信している。